ACTIVITY活動報告・成果
シンポジウムを開催しました(2024年度)
2025.2.27
2月14日(金)に令和6年度「医療人類学とバーチャル教育を活用した屋根瓦式地域医療教育(濃尾+A)シンポジウム」を開催致しました。
今回は本事業における重要な特徴の一つである、卒前教育における大学と学外の医療機関の連携をテーマに、事業報告と基調講演を行いました。
前半の事業報告では「多職種で地域をつなぐ医療者教育」と題して、岐阜大学・名古屋大学での地域医療教育における大学と学外の医療機関の連携について、これまでに行ってきた連携も踏まえつつ、本事業の活動報告を行いました。岐阜大学については本事業の担当者である平井特任助教から大学と自治体の連携、その中における本事業を踏まえたバーチャル技術をもちいた臨床推論や医療技術教育についてのパイロットおよびその暫定的な結果を報告しました。名古屋大学については、地域枠の医学生教育を担当している地域医療教育学講座で、本事業を通して日頃連携している高橋特任講師から、地域枠の医学生の教育支援および、本事業の医療人類学の特徴を踏まえたフィールドワーク実習に対する学生の振り返りの共有を報告しました。 また、各々の事業が更に大学と学外の医療機関の連携を深めるために今後注力したい点についても紹介がありました。
こうした事業報告の発表も踏まえつつ、本シンポジウムの基調講演「地域とアカデミアの教育連携-北海道での30年の実践を通じて-」では、医療法人 北海道家庭医療学センター 理事長 草場鉄周先生をゲストスピーカーとしてお招きし、同医療法人が、ミッションとしている家庭医療の実践・教育・研究について、この30年間で、家庭医の専攻医・中堅・ベテランという屋根瓦でのグループ診療体制を道内外の複数の医療機関で構築しつつ、その医療機関間のアライアンスを構築して共通の教育・マネジメントのスキームを形作ることによって、卒前・卒後・指導医教育のプログラムを広く自組織で構築してきた実績をお話しいただきました。加えて、本テーマである教育における大学・地域の医療機関の間の連携についても、この30年間の紆余曲折を概観しながら、大学と学外医療機関の担当者のつながりを土台に、相互に教育を構築しあうような建設的な連携を作ってこれたこと、そうした大学との連携が、同法人における教育を一歩飛躍させる上で重要であったことなどの示唆を頂きました。
また、フロアとのディスカッションを通して、地域(=へき地)の医療に携わる医療人材の養成については、大学側が組みたてた教育を大学から医療機関へ移譲・依頼をする一方向的な関係ではなく、教育を作っていく段階からの双方向的な協働関係を土台にした試みが重要になってくること、地域枠医学生に限った医療として対象を限定して展開するのではなく、様々な医学生に対して広く行っていくことが重要であること、地域で働く医療人材のキャリアのあり方が、古典的な地域に溶け込むモデル以外に多様なあり方があることを大学でも積極的に示していくこと、大学が総合診療や家庭医療の教育拠点として機能していくために、この分野において研究を行っていける人材を継続的に養成することの重要性などが話題にあがりました。
大学と学外医療機関の教育連携については、ともすると理想論が先立つこともありますが、現場における医療体制の作り方と密接に絡み合う中、それを土台にしながら、地道に作っていく必要性を感じられたシンポジウムでした。そのために大学側からの働きかけや教育について話し合う場を積極的に持ち掛けることが第一歩になってくると考えました。
本講演の様子は、下記リンクよりご確認いただけます。