ACTIVITY活動報告・成果

地域医療教育に関わる教員・指導医向けのワークショップを開催しました!

2024.7.22

7月6日(土)に日本文化人類学会 医療者向け人類学教育連携特別委員会との合同開催で、「医師・人類学者がともに考える人類学教育ワークショップ-実習教育とフィールドワークをつないでみると...?-」というタイトルで、教員・指導医向けのワークショップを開催しました。

医学部では、大学外の病院・診療所を含めた地域の様々な医療・保健・福祉の現場に医学生が低学年から高学年まで出向いて学ぶ機会が以前よりずっと増えました。文化人類学においては、自らとは成り立ちが異なる人々の生活に入り込みながら、様々な生業を深いレベルで観察・記述・分析する方法について、長年の蓄積があります。その蓄積を実習の中に取り入れることによって、現場に直接足を運んで様々な医療や生活の場面を肌で感じる機会を活かすための実習を、大学教員・地域の医療現場の指導医・人類学者が一堂に介して考える機会をつくりました。

定員30名のところ、応募多数となり、事前登録36名、当日は31名の方(医学部教員:14名、大学外医療機関の指導医6名、人類学および関連分野の専門家11名)の参加がありました。

当日前半は、医学部におけるカリキュラムの概略とその中での地域医療の位置付けについて慶應義塾大学 春田淳志教授から概説をして頂き、人類学におけるフィールドワークおよびそれを医学生が実践した際に生じる経験について、本事業担当の名古屋大学 梅村絢美特任助教が講義を行いました。その後、人類学者と大学の教育担当者が協力してフィールドワークの特徴を地域医療教育に取り入れた先行例として、川崎医療福祉大学 飯田淳子教授および鳥取大学 井上和興医師から鳥取大学での取り組みの紹介を頂きました。最後に、本事業担当の宮地純一郎特任講師から、現場で実習を受け入れるにあたっての医療機関側の教員が学生に対してできる支援のコツについて、話題提供を行いました。

春田教授による講義
梅村助教によるフィールドワークの講義

後半は、一連の話題提供を踏まえて、参加者が6つのグループに分かれて、大学における地域医療実習とフィールドワークをどのように組み合わせることができるか、その際に大学教員、学外医療機関の医療者、人類学者の三者がどのように連携すると良いかについて、グループワークを行いました。複数のグループにおいて、既に行われている既存の地域医療実習をもとにした討論が行われ、地域医療実習についての様々な改善案や新たな取り組みの方法が検討されました。

参加者の方々からは、自分とは違う立場で地域医療実習を担っている方や文化人類学者の生の声を聴きながら、実際に携わっている地域医療実習の計画や改善案を考える機会ができた、このワークショップの場で実習を行う上での新たな人脈を作ることができた、という感想が聞かれました。
地域医療実習のように、異なる立場の方々が一つのものを作り上げる必要があるカリキュラムについては、その多様な立場の人が一堂に会し、実際に取り組んでいる教育内容を題材に話す場を用意することが、実習をより良いものに変えていくきっかけとなると改めて感じました。

グループワーク発表の様子

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